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美丈夫様の破壊的な笑顔にドキンと、心臓が跳ねる。
やだ、今、会ったばかりの人にドキドキしてバカみたい。
ここは、冷静になって行動しないと……。
意識レベルはI-1ぐらいと見て話し掛ける。
「お家どこですか?」
「ココ 505号室、あ、鍵」
美丈夫様が隣の部屋の表札を指差し、その拍子にチャリンと鍵が足元に落ちた。
あっ、と思い、それを拾おうと屈む、みさきさんも屈んだ。
すると直ぐそばに綺麗な顔が来て、再びドキドキとする。
うわーっ、美丈夫様の顔が近い!
「う、気持ち悪……」
「えっ? ちょっ、ちょっと、待って……」
(三崎先生のキラキラは、自主規制)
咄嗟の事で、思わず手のひらをお椀のようにして受け止めてしまった。
まじか……。
くはっ、コレ,どうにかしないと。
「ほら、寝ないで早くドア開けて手を洗わせて下さい。急いで!」
私の号令に従って、みさきさんが家の鍵をドア穴に差し込んだ。
ガチャガチャとドアが開く。
みさきさんは、ふらふらと部屋の中に入って行く。私は、後に続き、
「洗面所のドアを開けて下さい」
再び号令を下す。
急いで上がり込み洗面所で手を洗うが、Tシャツにも跳ねているし、いくら美丈夫様のだからって、コレはナイわー(涙)
って、問題のみさきさんは、立ったままウトウトしている。
「ほら、ちゃんと口をすすいで、歯磨きして」
私は、お母さんか⁉
自分でツッコミを入れつつ、美丈夫様を見ると視線が合う。
「ん、」
と言ってまたヘラリと笑う。
うわっ、可愛い。モフりたい。吸いたい。愛でたい。
その実家のワンコを思い出させる笑顔を向けられると、きゅーんとなって何でも許せてしまいそう。
少し邪な気持ちで見つめていると、みさきさんは、ハッと気がついたような顔になり、
「ごめんね。シャワー使って、服もそこにTシャツがあるからそれ使ってくれる? 俺、もう寝るから……」
歯磨きをして、目が覚めたのかそんな事を言って洗面所から出て行った。
いきなり男の人の家に上がり込んでシャワーだなんて、普通ならあり得ないけど、キラキラが掛かっちゃって、ちょっと匂うし、ココのバスルーム鍵がかかるし、私の部屋ガス屋さん明日だからお湯がまだ出ないし、今日は、これから前の家に帰るし、緊急事態だから許されるはず……だよね。
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