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Side 佐藤
私の部屋の前で三崎先生が振り返えり、そして、ふっと微笑む。
「佐藤さん、俺が冷たくしたら、俺の事を熱くしてくれるんでしたよね」
三崎先生を怒らせて、嫌われてしまったと思っていたのに、自分が考えていた事とまったく違う事を言われ、一瞬、何の事かわからなかった。
でも、それがエレベーターでの会話を受けての事だと思いつくと、さっきまで、動かなかった足が動き出す。気持ちが急いで足がもつれてしまい、三崎先生の胸に飛び込むように抱きとめられた。
そのまま、三崎先生の首に腕をまわし、唇を重ねる。
そして、唇を離し、ダークブラウンの瞳を見つめ視線が絡むと、トクンと心臓が跳ねる。
「私とキスから始まる恋をしませんか? 私が三崎先生の心を熱くします」
私の言葉に三崎先生は困ったように眉を下げた。
「まいったな、俺は恋人としかキスはしないんだ」
その言葉に気持ちがしぼみ、瞳を揺らした。
「だから、俺の恋人になってくれる?」
後に続いた言葉に驚いていると三崎先生の手が私の後頭部を抑えた。
「恋人同士のキスをしよう」
そう言って、三崎先生の唇が重なる。
熱くて甘いその感触を食むように味わう。
もう、それだけで頭の中がフワフワと蕩けそう。
口腔内に三崎先生の舌が入って来て、私は絡めるように舌を動かした。口の中が唾液でいっぱいになって、それをコクンと飲み込んだ。
三崎先生の事を熱くするって言ったのに、自分がこんなに熱くなっている。
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