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side三崎
慌てて買い物から帰って来た。
ホント、ビックリ箱のような佐藤さんに振り回されている。
「……バスルームでお願いします」と言っていた佐藤さん。
いきなり、バスルームを指定するとは……。
もう、覚悟を決めたはず、バスルームで待っている佐藤さんがのぼせないうちに行かないと。
脱衣室に入って、服を脱いだ。普段なら何も身に着けずに浴室に行くけれど、佐藤さんが浴槽に浸かっていたら目線の高さに……。
スポーツタオルを腰に巻いて、浴室のドアを開けた。
もわっと立ち上る湯気が切れると、透明のお湯に浸かる佐藤さんが、俺の方を向いている。
「ただいま」
と声を掛けた。
長い髪をアップにして、肌を上気させてお風呂に浸かる様子にドキンと心臓が跳ねる。
「おかえりなさい」と声が聞こえ、緊張でぎこちなく微笑んだ。
シャワーのカランを上げ、ボディーソープで体を洗う。
ふわりと柑橘系の香りが立つ。
少し気持ちが落ち着いて来た。
シャワーのお湯で泡が消えていく。
キュッとカランを下げ、シャワーを止めた。
浴槽に浸かる佐藤さんと視線が合う。
って、俺が体を洗っている間も見られていたようだ。
佐藤さんの視線が……。
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