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PEACE3.自殺
PEACE3.自殺
それはよく聞く言葉だけど毎日のように電車で学校に通っている私は一度もお目にかかったことはない。けれど昨日のニュースでは流れていた。
『身元不明、30代男性とみられる人物が白線を乗り越え、飛び降りました。警察は事故と事件の両面で調査し、身元を…』
電車飛び降り。
真っ直ぐ向かってくるあの速さにぶつかりたいと思うこともある。
でも『弧低』である自分がぶつかったぐらいじゃあ、周りの人間は何の気なしに扉をくぐるかもしれない。運転手も普段通り発進するかもしれない。
もしそんな世の中だったなら、もしぶつかっても血液が出なくて自殺に関する法律も規定もなく人が死に慣れている世界だったなら。
そんなこともあるのかもしれないと右脳は訴える。
そんなことあるわけないと左脳は訴える。
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
身体が揺れる。この感覚は気持ちいい。心地良い。
人が少なくてうるさくない。そんなんだったらいいのに。
右を見ればOLが化粧をしていて、左を見ればサラリーマンが寝ている。ドア付近には私と同じ制服を来た女子が喋り狂っている。
こんなパズルには私のようなピースは当てはまらない。当たり前のように。他人から見る常識のように。
私というピースはぴったり当てはまる居場所というパズルが欲しい。けれど現実はそんな夢のようなものじゃない。一人一人が満足のいくパズルに当て嵌まるわけではないのだから。
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