テールグリーンで餞

35/36
前へ
/36ページ
次へ
「…血縁がたとえない家族でも、似てくると思いませんか?一緒に過ごした時間が全てだと私は考えてます。なので、私の知っているご夫婦は、似てる方が多いんですよ。 それに、私は嘘はつきません。本当に似ていないものは、似てるなんて言いませんよ。おふたりは似てます。目がキラキラしていて、色んなものを共有している、素敵な兄妹です!」 リョク兄と過ごした時間。それはかけがえのない、言葉ではたとえられない、幸せな日々だった。 「…ありがとう……」 リョク兄にそう言ったら、「これから先も幸せにするよ」なんて言いそうだ。 離れないよって言葉、とても嬉しかった。 「リョク兄のこと、今日も一日よろしくお願いします」 「しっかりサポートするので、任せてください」 パンツスーツ姿の彼女が背中を向ける。その後ろ姿は細いのに、広く見えた。わたしが結婚する時はあの人に頼もうかなあ。 「あ」 ぼんやりと思っていると、何かを思い出したように彼女が振り返った。 「やっぱりあまり似合いませんね。でもぴったりですよ、佐川さんのお好きな色が」 ……センスがないんじゃ、なかった。 リョク兄の好きな色……
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

158人が本棚に入れています
本棚に追加