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謎の電話騒動
それは、結婚して2カ月ほどたった、ある夜のこと。
旦那様の浩哉さんより一足早く帰宅して、夕飯作りにいそしんでいた、新妻の杏子さん。
家事と仕事の両立は大変だけど、大好きな旦那様においしいご飯を食べてもらいたい。
今日は、定時で上がれたし、一方浩哉さんは少し遅くなると言っていたので時間があるし、ちょっと手の込んだ料理にしよう!
一応、朝のうちに圧力鍋で煮ておいた大根を使って……。
RRRRRRR……。
電話が鳴った。
家電? あれ、珍しいな……慌てて電話に出る杏子さん、でしたが。
『遠山さんのお宅ですか?』
「はい、そうですが」
相手、女性、しかも若い。
『サイトウと申しますが、浩哉さん、いらっしゃいますか?』
「まだ帰宅しておりませんが……」
『何時頃お帰りになりますか?』
「今日は遅くなると言っていたので、はっきりとは……もし何でしたらこちらからかけ直しいたしますが」
『いえ、またお電話いたしますので』
誰だろう?
サイトウさん……浩哉さんの男友達になら、斉藤さん、何人もいたけど。
女性には思い当たる節がない。
ま、用事があれば、またかかってくるでしょう。
杏子さん、そう考えて、再び料理に取り掛かる。
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