瞬き

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私が身に着けているレモンイエローのカラードレスをさらりと撫で、彼は側にいた女性スタッフに尋ねた。 「いえ、それは一作品前のものです。とても人気があるので…」 「ダメダメ。広告写真に使うのなら新作のドレスでいこう。この間届いたばかりのブルーのドレス。あっちの方がこの子には似合うよ」 そう言って、彼は恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべ私を眺めている。 その瞳に見つめられるだけで、私の全身は熱を帯びたように熱くなっていく。 そうね。 このイエローのドレスもビージングが細かくて美しいけれど、あのブルーのドレスの方がゴージャスで華やかな私にはぴったりかもしれない。
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