わがままな君には白いベールがよく似合う

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 小、中、高校時代の友人である麻里奈は奔放な性格の持ち主だった。男友達が多い一方で、一部の女子達からは嫌悪されてもいた。麻里奈はいわゆる美人で、本人も無意識であったのだろうが、異性を誘うような仕草をすることが度々あった。小学生の頃から付き合いのある私からしたら、そのようなことは慣れっこであった。しかし、高校ともなればさすがに学内での麻里奈の立ち位置は危うくなり、私は数少ない友人として接していた。  そのとき出会ったのが、七恵だった。七恵とは高校からの付き合いではあったが、私と麻里奈の緩衝材のような役割を果たしてくれ、そのおかげで私は麻里奈に振り回され過ぎることなく一定の距離を保つことができていた。 「麻里奈、佐野さんの彼氏が好きなの」  麻里奈がそう唐突に言い出したのは、移動教室のときのことだった。私と七恵も沈黙し、次の麻里奈の言葉を待った。 「ダメ元で告白してみちゃおうかなぁ」  麻里奈の少し舌足らずな喋り方をする声が、休み時間の廊下の喧騒にかき消されつつ、浮かび上がった。  私と七恵は何も言わなかった。止めたとしても麻里奈は言うこと素直に聞くような人間ではなかったのだ。
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