10.富山へ凱旋

10/22
4978人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
「……ゅうじ、修二!!おきて!もう 十時だよ!!」 まなみは修二の体をガクガク揺すると、修二はやっと目を覚ました。 「……んっ……ここどこ?」 「寝ぼけてる。きのう私の家に泊まったじゃない。安心して、ホテルはキャンセルしておいたから」 「……あたま痛い……」 「あんなに飲んだんだから仕方ないわよ。さあシャワー浴びて、今日は前の会社行って挨拶するんでしょう?」 そうだった。修二はあわててシャワーを浴びさせてもらって着替えると、まなみの実家をあとにする。 「お世話になりました。すみません突然泊まらせていただいて……」 「いやいや、かまわんよ。北山くん、まなみを頼みます」 まなみの両親はニコニコとふたりを見送った。二日酔いで酒が抜け切らないので、まなみが運転席に座る。 「お父さんと知り合いなの、偶然にしてはできすぎだよね」 「ほんと。まなみが高山さんの娘さんだとは夢にも思ってなかったよ」 「お父さん、あんまりしゃべらないでしょ。職人気質なとこあるから」 「会社では高山さんにすごくお世話になってたから、高山さんと家族になれるの嬉しいよ」 家族になる……、何気なくそう言った修二の言葉にまなみはドキンとした。結婚するんだな、ほんとに。そう自覚すると、嬉しくて顔がニヤけた。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!