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「結婚って、縁だから。長く付き合ってればいいってもんでもないとお母さんは思ってるわ。あなたが一緒にいて幸せになれると思う人と結婚すれば、それでいいのよ」
母親はカチャカチャと皿を洗いながら、まなみに優しく語りかけた。
「うん、そうだね」
「それと、もし何かあったらいつでも帰ってきなさい。お母さんはあなたの味方よ」
「……、ありがとう」
まなみは風呂に入り、布団を持って二階へ上がった。ベッドで寝ている修二の横に布団を敷く。
修二はぐっすり眠っていて、気持ちよさそうだ。おやすみ、とほっぺにキスをしてまなみも布団に入った。
もう少しで寝そう……というところで、まなみのスマホが鳴った。
まただ。知らない番号からの着信であったが、たぶん隆史だろうとまなみは想像した。ここ最近、知らない番号からの着信が増えている。それを片っ端から拒否するのだが、またかかってくる。
しつこいな、この期に及んでなんの用があるのだろう。
まなみは拒否のボタンをタップしてスマホの電源を切ると、ばふっと布団をかぶって目を瞑った。
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