3.期間限定の婚約者

5/32
前へ
/167ページ
次へ
バースストーンをあとにして、パイナップル園にやってきた。そこは観光農園で、パイナップル製品を食べたり、実際に畑を歩いたり、電車に乗って回るトレインツアーなどがあった。 2時間の自由行動となり、ここで昼食を各自とる。まなみは先に食事をすませようと、フードコートでロコモコを注文したが、チキングリルが出てきた。 違うから変えてくれと言ったが英語がうまく伝わらない。このままではらちがあかないので、翻訳アプリを使おうとスマホを取り出していると、後ろから声をかけられた。 「どうしましたか?」 見ると、同じツアーに一人で参加しているアジア系ハリウッドスターさんであった。 「注文と違うので、変えてもらおうと思ったのですが、うまく伝わらなくて」 「注文したものはなんですか?」 「ロコモコです」 「わかりました」 そう言って男性は英語で店のおばちゃんに話しかけると、おばちゃんもOK!と軽く返事をしてロコモコを持ってきてくれた。その男性もロコモコだったのか2つ出てきた。 「ありがとうございます」 「いえ。きょうはお一人ですか?」 「そうなんです、英語がどうしても苦手で、助かりました」 「よかったら一緒に食べませんか?」 「え、あぁ…はい」 まなみは乗り気でなかったが、ここで断るのも悪いので話し相手にと一緒に食べることにした。 フードコートはまだ混んでおらず、パイナップル畑の見える窓際のカウンターに腰を下ろした。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5152人が本棚に入れています
本棚に追加