3.期間限定の婚約者

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「迷路は、記録より早く出て来られれば記念品がもらえるんだって」 「へー、じゃあ迷路を走り抜けましょ?」 「いいね! 競争する?」 「うん! 私、絶対負けない!」 「じゃあ行くよ、ヨーイドン!!」 脱兎のごとく走り出すふたり。右に行ったり左に行ったり。よくできた迷路でゴールになかなか辿り着けない。 あちこち行っているうちに、まなみはすっかり迷ってしまった。 「まなみー? 俺先にゴールしたよー?どこー?」 遠くから修二の声が聞こえた。まなみは袋小路に迷い込んでいてなかなか出られずにいた。 「修二ー、迷っちゃって出られない」 「今行くからまってて、そこ動かないで」 時々声でお互いの距離を確認し合いながら、少しずつ修二が近づいてくる。 2メートルほど丈のある生垣越しに、修二が見えた。 「修二、こっちこっち」 「よかった、大丈夫?」 「うん、なんか全部一緒に見えるんだもん」 「まなみって、しっかりしてそうでそうでもないんだな」 「ちょっと、失礼ね」 「うそうそ、いま行くから待ってて」
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