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「迷路は、記録より早く出て来られれば記念品がもらえるんだって」
「へー、じゃあ迷路を走り抜けましょ?」
「いいね! 競争する?」
「うん! 私、絶対負けない!」
「じゃあ行くよ、ヨーイドン!!」
脱兎のごとく走り出すふたり。右に行ったり左に行ったり。よくできた迷路でゴールになかなか辿り着けない。
あちこち行っているうちに、まなみはすっかり迷ってしまった。
「まなみー? 俺先にゴールしたよー?どこー?」
遠くから修二の声が聞こえた。まなみは袋小路に迷い込んでいてなかなか出られずにいた。
「修二ー、迷っちゃって出られない」
「今行くからまってて、そこ動かないで」
時々声でお互いの距離を確認し合いながら、少しずつ修二が近づいてくる。
2メートルほど丈のある生垣越しに、修二が見えた。
「修二、こっちこっち」
「よかった、大丈夫?」
「うん、なんか全部一緒に見えるんだもん」
「まなみって、しっかりしてそうでそうでもないんだな」
「ちょっと、失礼ね」
「うそうそ、いま行くから待ってて」
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