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前の方のテーブルに通される。里穂も同じテーブルだが、ひっきりなしに声をかけられていた。まなみはちょこんと座っておすまし。
大きなパーティーはミス富山の打ち上げ以来だが、あのときとは気分は全然違っていた。
きょう、修二と過ごせて楽しかったな。また明日も会えるのか。しかもノースショア。すごく楽しみ! はやくあしたにならないかな。
もう、パーティで誰かステキな人をみつける気などは毛頭なく、あしたのことで頭はいっぱいだった。
ほどなくしてパーティーがはじまって、イノリファームの会長が最初にあいさつをする。おじいさんと言うよりはおじさまという感じで、かなりのイケてるオジさんだ。
「本日はご多用のなか、お集まりいただきまして、ありがとうございます」
通訳のひとがそれに続いて英語でしゃべる。
企業向けのあいさつ。まなみは聞いてるふりはしていたが、あしたのことに思いを巡らせてまったく耳に入っていなかった。
「では続きまして、先日イノリファーム副社長に就任いたしました、北山修二よりごあいさつ申し上げます」
司会者の女性がはぎれよく言ったその言葉にまなみはドキッとした。
修二? 北山修二って言ったよね?まさか……
「ただいまご紹介にあずかりました、北山修二です。僭越ながら、ごあいさつ申し上げます」
そして、通訳を介さず、英語でスピーチをはじめた。それは間違いなく、さっきホテルのロビーで別れた北山修二であった。
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