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まなみはぽかんと修二を見つめていた。えっ? イノリファームの副社長? 修二が?
こりゃ大変なことになった。イノリファームのお偉いさんとは。どうりでボンボンオーラがバンバン出てたわけだ。
修二の流ちょうな英語のスピーチが終わると、歓談の時間になった。まなみもいろんな男性にひっきりなしに声をかけられて、修二に話しかけるタイミングもなく、食事もたべることもできず、なんとかほっとして元の席に座ったのは、パーティーの終わりかけだった。
「まなみさんも大人気ね」
里穂もやっとイスに座ってワインを飲みはじめていた。さっきの外国人パートナーといちゃこらするので目のやり場に少々困ったが、頃合いを見て話しかける。
「里穂さん、あの副社長の修二さんのことなんですが」
「あら、あの方がお気に入り?」
「いえ……どういう方かなと思いまして」
「北山修二さん、28歳。会長の二男で先月副社長に就任されたわ。社長はお兄さまの龍一さん。お兄さまが日本、修二さんは海外の案件を中心にやっていくようね。確か婚約者がいらっしゃるとか」
「そう……ですか」
「修二さんは難しいかもしれないけど、他にも名刺たくさんいただいたんでしょ?その中にはいい人はいらっしゃらなかったの?」
「はい……」
パーティーの間は何とかその場を過ごすのに必死で、相手の人のことをあまりよくみていなかったし、修二の様子が気になって仕方なかった。
はぁ。しょせん、いっときの夢だったか。フィーリングはすごく良かったけど。婚約者もいるんじゃ遊ばれたなこりゃ。
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