3.期間限定の婚約者

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「なんだよ、先に部屋に行くんじゃなかったのか」 天使は修二に走り寄って、腕にぎゅっとつかまった。 「お話してるのが見えたの」 修二の腕にしがみついて、ものすごくじーーーーーっとその女の子はまなみを見た。 「この方がお兄さまの婚約者? 思ってたのと違う。どこにでもいるじゃないこんな人」 天使の出立ちとはウラハラに、口から次々出てくる毒蛇。初対面で良くそこまで言えるもんだ。 「おい、失礼だろ……」 「本当にこの人が、婚約者なの?」 まなみがキョトンとしていると、修二はじっとまなみを見てこう言った。 「ああ、そうだよ。婚約者の高山まなみさん。今度のお披露目パーティーに合わせてきてもらうつもりだったけど、早めにハワイに呼んだんだ」 婚約者? 誰です? まさか私のことですか? まなみは訳がわからず立ちつくしていた。 「ふーん、お兄さま、こういう女がお好きなの? ヒョロヒョロで、ワガママそう。でも胸だけは合格ね。」 おーい!! さっきから黙って聞いてりゃ言ってくれるじゃんか、このガキ!! いやガキというにはそこまで幼くないか……高校生くらい? いや、いまの論点はそこじゃない。婚約者ってどういうこと? まなみは言いたいことが頭の中で大渋滞をおこして、なかなか言葉が出てこなかった。
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