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「なんだよ、先に部屋に行くんじゃなかったのか」
天使は修二に走り寄って、腕にぎゅっとつかまった。
「お話してるのが見えたの」
修二の腕にしがみついて、ものすごくじーーーーーっとその女の子はまなみを見た。
「この方がお兄さまの婚約者? 思ってたのと違う。どこにでもいるじゃないこんな人」
天使の出立ちとはウラハラに、口から次々出てくる毒蛇。初対面で良くそこまで言えるもんだ。
「おい、失礼だろ……」
「本当にこの人が、婚約者なの?」
まなみがキョトンとしていると、修二はじっとまなみを見てこう言った。
「ああ、そうだよ。婚約者の高山まなみさん。今度のお披露目パーティーに合わせてきてもらうつもりだったけど、早めにハワイに呼んだんだ」
婚約者? 誰です? まさか私のことですか? まなみは訳がわからず立ちつくしていた。
「ふーん、お兄さま、こういう女がお好きなの? ヒョロヒョロで、ワガママそう。でも胸だけは合格ね。」
おーい!! さっきから黙って聞いてりゃ言ってくれるじゃんか、このガキ!! いやガキというにはそこまで幼くないか……高校生くらい? いや、いまの論点はそこじゃない。婚約者ってどういうこと?
まなみは言いたいことが頭の中で大渋滞をおこして、なかなか言葉が出てこなかった。
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