5153人が本棚に入れています
本棚に追加
しまった、しまった、しまった……。
修二に手を引かれて歩きながら、まなみの顔からは血の気が引いていた。
勢いでそう言ってしまったけど、いいのか? それで、本当に。男女が同じ部屋に行けばやることはひとつしかない。
でもきょう出会ったばっかりの人と? いやいやいや、私そんなに節操なかったっけ? いや一度そう言ったんだし、いまさら嫌っていうのも…いや、やっぱりだめだ。
なんとかその雰囲気になったら帰ろう。ついでに婚約者は断わろう。いいよね? うん、そうしよう。
ポーンとベルが鳴ってエレベーターに乗り込む。ふたりっきりのエレベーター、修二は最上階のボタンを押した。
すごい、私よりいい部屋だ。いったいどんな生活なんだろ、大企業の副社長って。
修二は手をつないだまま、じっと前を見つめている。横顔もかっこいいな。ドキドキしたり血の気が引いたり、体がおかしくなりそうだった。
エレベーターを降りると、修二は早足で部屋へ向かう。ギュッと握られた手が痛いくらい。鍵を開けてバンっと勢いよくドアを閉めたかと思うと、壁にまなみを追い詰めてグッとあごをつかんだ。
最初のコメントを投稿しよう!