3.期間限定の婚約者

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しまった、しまった、しまった……。 修二に手を引かれて歩きながら、まなみの顔からは血の気が引いていた。 勢いでそう言ってしまったけど、いいのか? それで、本当に。男女が同じ部屋に行けばやることはひとつしかない。 でもきょう出会ったばっかりの人と? いやいやいや、私そんなに節操なかったっけ? いや一度そう言ったんだし、いまさら嫌っていうのも…いや、やっぱりだめだ。 なんとかその雰囲気になったら帰ろう。ついでに婚約者は断わろう。いいよね? うん、そうしよう。 ポーンとベルが鳴ってエレベーターに乗り込む。ふたりっきりのエレベーター、修二は最上階(16階)のボタンを押した。 すごい、私よりいい部屋だ。いったいどんな生活なんだろ、大企業の副社長って。 修二は手をつないだまま、じっと前を見つめている。横顔もかっこいいな。ドキドキしたり血の気が引いたり、体がおかしくなりそうだった。 エレベーターを降りると、修二は早足で部屋へ向かう。ギュッと握られた手が痛いくらい。鍵を開けてバンっと勢いよくドアを閉めたかと思うと、壁にまなみを追い詰めてグッとあごをつかんだ。
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