1.婚約破棄は突然に

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 「まなみ、明日からハワイでしょ? お土産楽しみにしてるから」  まなみの仕事は、はらまちロープウェイの添乗員。そのロッカールームで芽衣(めい)は着替えながらまなみに話しかけた。芽衣とまなみは同じバイト仲間でいちばん仲がよい。  「期待してて。でもハワイが居心地よかったらもう帰ってこないかも!?」  「それじゃさみしいじゃん」  芽衣はしゅんとした顔をしながらパタンとロッカーのドアを閉めた。  「うそうそ、帰ってくるわよ。日本に帰ってきたらやりたいこともあるの」  「やりたいこと?」    「わたしね、占い師になりたいの。なにかそのヒントをハワイで掴んでくるつもり」  「楽しんできてね」  「うん! あー早く明日にならないかな」  婚約破棄から半年経って、隆史への気持ちはずいぶん吹っ切った。もう帰ってこないかも? と言ったのが現実になるとは、この時は全く思っていなかった。
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