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「先日の雑誌、見させていただきました。年々きれいになられていますね」
「ありがとう、久しぶりにまとまった休みが取れたから、私もハワイに行くところなの。あなたひとり?」
「そうです」
「じゃあ向こうに行ったら連絡するわ。パーティーや、お買い物、一緒にいきましょう」
「えっ、いや、私は別にひとりでも…」
「せっかく再会したのに、つれないわね」
「里穂さん、せっかくのお誘いですが……」
せっかくの旅行、里穂に合わせて行動するメリットはないように思えた。
「あなたね、婚約者にギャフンと言わせたいと思わないの?」
「ギャフン?」
「そうよ、婚約者へのいちばんの復讐は、あなたが幸せになることよ」
「……はぁ」
「パーティーにはいろいろな人が来るから、人脈を作っておいて損はないわ」
「人脈ですか」
「こんなところで終わりたくない。そうでしょ?」
痛いところをグイグイつかれたが、何かつかんでハワイから帰るという目的を達成するにはもってこいの話だった。
「……わかりました。ご一緒させてください」
「ホテルはどこ?」
「ハマクラニです」
「私もよ、都合いいじゃない。それじゃまたあとで」
颯爽と去っていく里穂は自信に満ち溢れていて、ミスコンのときからもっとパワーアップした別の人のように見えた。
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