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一体いつから私は、こんなにネガティブな人間になったんだろう。
思えばあの旅行で家族を失ってからだろうか。
あれ以来、自分を否定し続けるもう一人の自分が消えない。
気づけば心の底から笑ったことがなくなっていた。
そういえば、本を読んだり映画を見終えたりしたあと、なんとも言いがたい虚無感に包まれることが昔から多かった。
何でなんだろう?
そこで初めて気づいた。
そうか、私不安なんだ。
先が見えない不安。
大切なモノがわからなくなって、
自分の物語の続きが見えなくなった不安。
どこに向かえばいいのかわからなくなっている。
過去は私だけを置き去りにして遠く離れていく。
ずっと側にはいてくれない。
追いかけても届かない。
伸ばした手は虚しく空を切る。
必死でかき集めた地位も名声も、
砂のようにこぼれ落ちる。
しがみつくものは何もない。
私にはもう何も残っていない。
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