ペトリコール

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 急な傾斜の階段を登りきりると、素晴らしい景色が目の前に広がる。  あまりの美しさに言葉を失った。  なんて、綺麗なんだろう。  懸命に山頂を目指して登った先で、こんなにも感動的なモノが見れるだなんて。  すると、ポツポツと雨が降ってきた。  火照った体に冷たい雨が心地いい。  ――――祝福の雨だな。  そう思った。  普段だったら雨が降ったらイヤな気分になるはずなのに。  私のなかの黒く濁った何かが、すべて洗い流されていくような感覚だった。  『頑張って登って偉いね。おつかれさま』  そんなふうに言われている気分だった。
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