始まらなかった私の幸せ

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始まらなかった私の幸せ

 プロポーズをされて、結婚式のプランを決めて、ウェディングドレスを着て……。  これから幸せが来るのが確定だと思っていた。    あの時までは……。  幸せ絶頂だった私を襲ったのは交通事故。  信号無視の車にひかれた私は頭の打ち所が悪くて即死した。  神様はどうしてこんな運命にさせたのか、理解不能。  薄れ行く意識の中、私は初めて神様のバカと心の中で唱えた。  気がついたら私は歩道橋にいた。  事故現場とは違う場所だが、思い入れがあるからたぶん私は存在したのだろう。  この歩道橋は彼の職場の近くにあり、私はよく彼の帰りを待ったり夕日を眺めながら将来の夢を語り合ったりした。 「はあ……」  私の夢は消えてしまった。  ただ普通に過ごしていただけなのに、日頃の行いはそんなに悪くないはずなのに。  私は死んでしまった。
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