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「俺たちはさ、かーくんが好きなんだ」  パワーバトル当日。  勉強の力を計るため、会場に続々と運び込まれる机を眺めながら田代は話し始めた。 「幼稚園が同じところでさ、俺たち4人とかーくんはずっと一緒だった。でも小学校で5人ともバラバラになったんだ」  懐かしい思い出を振り返るかのように、彼は遠い目をする。 「中学校は、皆で受験して受かることができた。まあ、トーヤは危なかったけどな」 「うふふ」 「受験してから、光雪(みっつー)が言ったんだ。『知り合いだと知られない方が便利なことがある。おれたちは、これから互いを知り合いじゃない体で生きよう』って。それでメルアドだけ交換して、グループを作った。それから、俺たちは影でかーくんを支えていくことにしたんだ」 「変わった友達関係ですわね」 「知ってる」  田代は、爽やかに笑った。 「とざい、と〜ざぁ〜いっ!」  どこからか現れた生徒会副会長が、持っているマイクを使わず、声を張り上げた。 「皆様! お待たせいたしました! 準備ができましたので、只今より生徒会執行部主催、学校公認パワーバトルを開催します!」  ウワァァァァァァァァァァ――! 「勉強部門。参加者は席についてください!」  光雪を含め、何人もの「この人、頭いいんだな」という雰囲気を纏った人が席につく。  中でも、金髪の光雪は目立つのであった。 「では、始め!」
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