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「で? 結局、方法と理由は? ああ、俺を巻き込んだ理由についても、お聞かせ願いたいね」
「まず理由について。実はこの学校、権利が館野家に売られるのよ。今日は5月7日でしょう? 5月末には、権利を正式な手順を踏んで館野が買い、莫大なお金が現理事長に入る。6月には、理事長が館野に変わるわ」
「でも、それは君にとっていいことなんじゃないか? 理事長が変わるんだから」
「いいえ、良くないわ。館野は、学校を地獄に変えているのよ」
「どういうことだ?」
「以前、館野が買った学校に、わたくしの友達がいたのだけれど。理事長が変わって、校則が厳しくなり学習方針も変わって、全体的に学力が落ちたそうなの」
彼は、目を鋭くする。
「つまり、私の目的は、現理事長を暗殺することで、権利の売買交渉を白紙に戻すこと」
「ほう、なるほど。でも暗殺はやりすぎじゃないのか?」
「いいえ。やりすぎではございません。実は現理事長、畠山家は財力があまりございません。この学校の運営で、精一杯だそうです。どれだけ口で交渉しようとも、お金の力には負けてしまうでしょう」
七楽は、考え込む素振りを見せた。
「次に、方法と貴方を巻き込んだ理由について説明しましょう」
「その2つを一緒に説明するということは、方法に俺の立場が関わっていると言うことだな」
「ええ。学校公認パワーバトル。これで最終的に、理事長に勝つつもりです」
「なるほどな。それで生徒会長の俺を……」
全てを理解したように、彼は頷いた。
――学校公認パワーバトル。
生徒会が毎年、学校側に突きつける挑戦状。
知力、運動能力、創作、料理を生徒がグループを組んで競うのだ。しかし、それだけでは、生徒で競うだけであり、学校側――すなわち理事長とは、何の関係もないのである。
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