2

28/31
150人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
分かっている。理解している。 全ては勢いで、いわゆる一夜だけの関係で、きっと明日からは前のように学部も違う接点もほとんどない先輩後輩に戻る。 分かっていたじゃないか。 先輩が私の事好きじゃなくても、私だって好きじゃない人と、そういう事が出来るって公言してたじゃないか。 けどやっぱり、分かっていても。 「南美の家ここ?」 「あ、はい。送ってくれてありがとうございます」 願いも虚しく、その時は来るわけで。 なんだか泣きそうになっていた私は、涙を必死に堪えて先輩に頭を下げた。 このまま顔を上げたらきっと泣いてしまう。 だからそのまま、また学校で、と振り返らず先輩に背を向けた時だった。 「───ここで好きって言うのは、 安っぽい上に嘘っぽいから絶対言わねえと思ってたけど」
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!