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後ろから追いかけてきた声に、足を止める。
背中に全ての感覚が集まったんじゃないかと思うほど、背後の静馬先輩に意識が持ってかれて。
こちらに近づく足音の一つ一つに体が反応してしまう。
「けど何でかな。他に俺、言葉が思いつかねんだよ」
「……」
「南美を引き止める言葉が思いつかない」
とっくに壊れかけてる涙腺は、一度許したら次から次へと溢れ出した。
震え出す私の体に気づいてるのだろうか、ねえ、先輩。
「だから引かれるの承知で言うけど」
「……」
先輩が安っぽくて嘘っぽいって言ったその言葉は
「南美のこと好きになってもいい?」
私が全身全霊で叫んでる言葉だよ。
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