怖がらないこと

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怖がらないこと

夢をみていた。 ソレが出てきてからは見ていなかった、悪夢だった。 あたしの前に姿を現したソレは、もうあたしの知っている姿ではなかった。 沢山の人を食べ、大きく成長したソレは人間の倍の大きさがあった。 「やめて!!」 そんな悲鳴が聞こえてきて視線を向けると、夕夏が逃げていた。 夕夏は時折こけそうになりながら、必死でソレから逃げている。 しかし、それはほんの数歩歩いただけで夕夏に追いついてしまった。 ソレが細い指先で夕夏の首を掴み上げた。 夕夏の絶叫がこだまする。 夕夏は必死でもがいて抵抗するが、ソレは牙をむき出しにして夕夏の頭をかみ砕いた。 頭蓋骨がバリバリと音を立てて破損していく。 食いこぼされた脳味噌がボトボトと足元に振って来て、跳ねた。 血肉の臭いが周囲に立ち込めて吐き気がした。 「いや……いや!!」 次々に逃げ惑うクラスメートたち。 夕夏を食べたソレは更に大きく成長し、今度は梓を追い詰めた。 「きゃあああああああ!!」 梓の絶叫。 「梓!!」 ソレに手を伸ばして止めようとするが、ソレはびくともしない。
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