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待ち合わせ場所のカフェに着く。
平日の昼過ぎだが、カップルやサラリーマンなどで賑わっている。
店員に待ち合わせだと伝え店内を見渡していると、1人の男が立ち上がった。
顔を見て、俺は手を振る。
圭吾君も笑顔で手を振る。
「久しぶりだな。いつ以来だ?」
「一昨年の年末年始じゃない?去年俺帰ってないから」
席につきながら話す。お互いコーヒーを頼み、向かい合う。
「改めて、結婚おめでとう」
「ああ、ありがとう」
そう言って照れ臭そうに笑う圭吾君の顔は、学生の頃と変わってなかった。
「最近どうだ?仕事は?」
「ぼちぼちだよ。楽しくやってる」
「シュンが料理人で、店を持つなんてなぁ。すごいなぁ。料理好きだったんだな」
「それで、話しって何?」
沈黙が流れる。
何となく、間を埋める為に喋っているように思えたので、核心を突いた。圭吾君の顔が曇っていく。
「ああ・・・うん・・・なんて言うか・・・その、
ちゃんと、謝りたくて」
「謝るって、何を?」
「・・・俺が、お前の青春を奪った事を」
俺は首を傾げる。圭吾君は続けた。
「俺がシュンに、悪い事を教えて、巻き込んだくせに・・・俺だけ結婚して、幸せになって」
俺は黙っていた。
「俺は・・・そのまま生きる事が出来なかった。両親や、周りの目を気にして・・・ごめん、シュン」
そう言って俯く圭吾君を眺めながら、自分の中の液体のようなものが、波打って飛沫を上げるような感覚になっていった。
「・・・圭吾君。それは違う」
努めて優しく諭すように言う。
「俺がそうなのは、圭吾君のせいじゃない。生まれつきだよ」
まだ恋愛もした事無かったけど。
「圭吾君を恨んでなんかないよ」
だってそもそも、俺達は付き合って無かったんだから。
「それに俺は、今の生活楽しいよ。好きな事を仕事に出来てるし」
俺は皆と同じ生き方を出来ないから、せめて手に職付けて資格を取って、生きていける武器を持ちたかっただけ。
「だから・・・圭吾君は圭吾君の人生を生きてよ」
『自分のせいで人の人生を狂わせた』なんて、自惚れないでくれ。
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