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次の日の昼休み、私はこの謎の紙の意味を考えていた。
ラブレターはそのままの意味として考えると残る謎は書かれている数字の羅列と3304と、誰が書いたのかってこと。
紙の下半分に「図15-319-256、5-278-17」と横にニ列になって隣には縦で3304と書かれている。
紙と睨めっこしていると後ろから
「むぎ、何見てんの?」と話しかけられる。
声の主は伊藤蒼(イトウアオイ)、私の友達の男子。サッカー部副キャプテンで、最近は私が入っている漫研に遊びに来ては部活をサボっている。
共通の本が好きということで、仲がいい。
「何それ?え、自分で書いたの?笑」
「そんな訳ないでしょ」
若干引かれた。これ以上誤解を招かないように昨日のことを説明する。
私が書いたとしたら結構痛いやつになるよ。ただでさえ陰キャなのに。
「へー、面白い!どこまでわかったの?」
「いや全然、何もわかってない」
「俺、この3304ってどっかで見たことある気がする。思い出せないけど」
「私も同じこと思った。思い出せないけど」
「まあ、それは後で思い出すとしてさ、一番わかんないのは『図』の字と数字の意味だな」
「『図』は絵のことだと思うんだけど…」
「うん、たしかに…」
二人の頭だけじゃ足りない。
「なぁなぁ、この図ってなんだと思う?」
蒼が話しかけたのは前の席でお喋りしていた藤代、三雲、松倉の女子三人組。
なぜすんなり女子に話しかけられるのかっていうと、顔が広くて友達が多いから。
別に羨ましくなんかないんだからね。本当は性格悪いの知ってるもん。なんせこっちは三年の付き合いなんだから。
「えーなにこの紙ウケル!蒼書いたの?図図図…図工だ!」
「いやいやいや図といえば図書館だろ!!」
「いやどっちでもええわ(笑)」
「「図書館だ!」」
私と蒼の声が重なる。二人思ったことは同じみたい。
「三人ともありがと!」
「ありがとうございました」
「「「おう」」」
そう言い親指を立て、またお喋りに戻っていった。
「なぁ、思ったんだけどさ何で同級生なのに敬語なの?」
「昔からの癖で」
昔から親には厳しく礼儀はちゃんとするように言われてきたから。というのもあるけど、本当は親しくない人に嫌われたり、目の敵になるのが怖いからしている。
「んじゃ、図書館行くとき教えてねー」
「え、付いてくるの?」
「もちろん面白そうだし、これ解らないと俺眠れない」
「どこぞの乙女だよ。わかった。じゃあ明日ね、今日も大掃除あるから」
「はーい。絶対だからなー」
ちょうど予鈴がなって各席に座る。一応読む準備をしていた小説は机に置かれたままだった。
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