謎解き

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「…何があったんだよ」 朝、そう話しかけてきたのは蒼だ。 「筋肉痛、痛すぎて死んでる…」 「なるほどねー…で、掃除終わったの?今日行ける?」 「あ、はい行けます。でも今日は動きたくないっす。特に三階の教室から一階の一番遠い図書室に」 「そっか、じゃあ今日放課後ね!」 そう言い残し、自分の席に戻っていった。え、私の話聞いてました?あんたは鬼ですか?歩くのもきついのに、私の身を少しくらい考えてくれ。性格悪いのでちゃってるよ。 英語、理科、技術、数学、社会、国語と1日の授業をこなした。最後の国語が一番きつかった。教師がお経のような抑揚のない声で話すもんだから、睡魔との厳しい戦いだったよ。 それは私に限ったことじゃない、クラス総出で戦っていた。何人かは負けてしまったようだけれど。でも不思議、授業が終われば眠気はどっかに飛んでいくんだから、本当やめてほしい。 帰りの会が終わると、私は急いで帰ろうとして混雑する廊下に出る。と、廊下のど真ん中に蒼が待ち構えていた。ニヤニヤしている。他の人からすれば邪魔で迷惑極まりない。私は蒼を見て反対方向へ逃げる、が筋肉痛真っ盛りの私がそんな早く走れるはずもなく、いとも簡単に捕まった。 「じゃあ!行こう!」 蒼は張り切っていて、子供のようにはしゃいでいる。ニッコニコの笑顔が、ちょっと可愛く思える。 「よし!(ニヤ)」 何か嫌な予感がする。すると私の手をとっていきなり走り出した。 「ギャャャャァァ」 前言撤回、どこが可愛いだ。私は痛さで苦しんでる一方で、葵は楽しそうである。あんたは本当に鬼だよ。階段を一段降りるたび体中が悲鳴をあげてる。痛い痛い痛い。私の叫び声は校内中に響き渡りましたとさ。 そうやって叫び回っていたら、図書室の前に着いた。私の手を離してこっちに変顔を向けながら、黙って先に入っていく。おい?ここまで来たなら最後までエスコートしてくれよ。痛みの波が、後から押し寄せてくる。蒼に遅れ、図書室に入ると蒼は本を手に本棚によしかかっている。様になっているのがなんだか悔しい。 「あ、やっと来た。遅いから本読んでたよ」 「うるさい。その時間があったら一緒に連れて来てくれても良かったんだけどなー」 嫌味を言われたので、棒読みの嫌味で返してみる。 「はいはい、じゃ、調べようか」 まって、そんな簡単に流さないで?泣くよ? 図書室には人がいない感じだったので、本棚の間から変顔したり、かくれんぼをしたりいろいろふざけながら「15-319-256-、5-278-17」の数字をもとに本を探していた。
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