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「「「えぇぇ!?先生だったの!!?」」」
3人の驚きの声が重なる。先生は不思議すぎて自問自答してる。すかさず私が質問した。
「え、ででも何で目安箱に入ってたんですか??」
「もう、いらない箱だったからな。最近まで職員室にあって、もう捨てるって言うから、俺のいらないメモを中に入れておいたんだよ」
「てことは…このラブレター先生が書いたってことですか?」
「あー、そうだよ。なんで3人揃って引くわーって顔するんだよ。ひでぇな、確かに俺書いたけど違うよ。失恋した女友達が、龍也は声だけは良いから慰めて〜って言われちまってな。なんでもいいからイケメンが言いそうなことをリクエストされたから、そばにあったこの紙に書いたってわけだ。最後はもういらないからって押し付けられる始末」
先生も苦労してんだなー。まあ声がいいのは事実、目を瞑っていたら完璧なのに。
次はあおいが質問する。
「てことは先生が治すロッカーって奥田のですか?」
「ああそうだ。そのメモに3304って書いてただろ。前から頼まれてたんだけどなー、今日の今日まで忘れちまってたんだよ」
なるほどそういうことか。
「じゃあ…この図15-319-256と5-278-17の本は何の為のものだったんですか?」
最後の質問をするのは理沙だ。
「あ〜それはな、2週間後にあるテストの問題作ろうと思っていい問題見つけたから、そのまま出そうと思ってな」
そう言うと理沙からメモを返してもらっている。
あ、だから社会か!五十嵐先生は社会の教師である。最近やった所が出たのもテスト問題だったからなのか。あー納得納得。ん?てことは今チャンスじゃ……
「先生!もうその紙いらないんですよね?私が捨てときますよっ!」
「お!気が利くな〜じゃあ、お言葉に甘えてお願いしようかな…ん…?」
渡そうとした先生の手が止まる。あれ?気付かれちゃった?
「あ〜、やっぱ自分で捨てるからいいぞ」
「いえ!それを捨てるだけに先生の手を煩わせるわけにはいきませんよ!!」
そう続けたのは蒼、彼には意味がわかったみたい。理沙は訳が分からないのか、きょとんとしながらやりとりを見ている。
「いや、いいいい」
そう言い残し、職員室に逃げるように機敏な動きで逃げていく。え、足速っ。
「「ちぇ逃げられたか」」
私と蒼が揃えて言う。理沙はまだ不思議そうにきょとんとしている。本当に純粋で真面目な子、こんな汚れた心にはなっちゃだめだよ?
てか先生、ロッカー治すの忘れてるよ?いいのですかい??
「二人とも!数字覚えてる??」
「すみません…覚えてないです」
「ぐあぁ!!俺も覚えてねえ!」
「はぁ…私も覚えてないせっかく問題見れたのに(泣)」
あっ!そういうことか!って顔を、今頃している理沙であった。
彼女以外の2人は文句を言うなか、彼女はずっと苦笑いしながら、家に着くまで二人の小言に付き合ってくれたよ。
でも今日は心優しい理沙ちゃんと仲良くなれたことで満足としておこう。
欲張りはだめだ!自分に喝!
でもテスト嫌だー。勉強したくないよ。
オレンジ色に染まった夕日は微笑んでくれてるのに、テストの神様は微笑んでくれてない気がするのは私だけかな?
どうか気がするだけで終わってくれい。
「面白かった〜。結局、答えは簡単なものだったな」
「そうですね。途中からでしたがすごく楽しかったです!」
「満足してくれたなら嬉しい!見つけてきてよかったー!」
「はい!ありがとうございました」
「俺は数字覚えてないのだけが心残りだけどな(泣)」
「もうそのことは諦めなさい!我々にはテスト勉強しろということなんだよ!悔しいけど!!(泣)」
「「うわあああ」」
「ふふふ」
あ〜楽しい!そういえば誰かと一緒に帰ったのも、たくさん笑ったりしたのも久しぶりな気がする。卒業するまで毎日こうやって過ごせるといいな。
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