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エピローグ
読み終えた曾祖母はその場に泣き崩れた。
暫く泣いた後、彼女は曾祖父の手紙を何度も読み直し、そして祖父を呼んだ。そう、祖父があの時、曾祖母のお腹にいた子供だ。
僕はあの厳格な祖父が泣いている所を初めて見た。
それ程、この手紙には愛が詰まっていて、そして戦争という呪縛の中、死の運命を受け入れざるを得ない曾祖父の心の叫びが伝わってくる。
既に擦れて読めなくなった曾祖父の手紙を曾祖母は愛おしそうに抱きしめながら、祖父と一緒にその日は泣き続けていた。
―――
「うん、曾祖母ちゃんに渡した。とても喜んでいたよ。君の曾祖父ちゃんと、自分を『探し出して』くれた君にありがとうと伝えて欲しいって」
僕は手紙を渡した結果を電話でアメリカに居るキャシーに伝えた。
「そう良かった。私もとっても嬉しいわ。それに曾祖父も喜んでいると思う。奥様を『探し出して』あの手紙を渡すことは彼の悲願だったし。ねぇ、裕翔。私も日本に行って貴方の曾祖母様に会ってご挨拶したいのだけど……」
それを聞いて僕の心は弾んでいた。一目惚れの彼女に日本で逢えるなんて。
「良いよ、いつ来る?」
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