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ナツのキモチ②
アタシ、やっちゃったのか?
二人が急に無口になった。なんか気にさわるようなこと、アタシ言っちゃったのか?
マズイ、ここは早く話題を変えなければ! 大丈夫、落ち着けアタシ。そう、アタシは気転がきく女としてとても有名なのだ!
「あ、あれ? なんかアタシ、変なこと言っちゃったかなあ、なんて…… ハハハ…… そうだ! もうすぐ高校生になって初めての吹コンだよね! あれからもう1年経つんだね。いやー、時が経つのは早いって言うか…… あっ!!!」
しまった! 何言ってんだアタシ!
全日本吹奏楽コンクールは中学校の部だけでなく高校の部もある。もちろんウチの高校も出場する。高校の部A部門に出場出来る人数は55人までと決まっていて、ウチの学校ではこの55人をAメンバーと呼んでいる。
アタシはAメンバーに選ばれた。でもアンズとモモコは選ばれなかったんだ……
ああ…… アタシはバカだ。
いや、別にバカでもいいんだ。アタシが自分がバカなことは知っているし、むしろアタシは自分がバカであることに誇りを持っている。
でも、今のアタシは思いやりのないバカだ。それはアタシが目指すバカじゃない。アタシはみんなに楽しんでもらえるバカになりたいんだ!
それなのに……
アタシの話を聞いた二人の反応は——
モモコの眉間の皺が一層深まり、アンズのうつむいた顔が一層地面に近づいた。
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