記憶の楔《くさび》

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行燈の大きさは公道を通過するため高さ4メートル、幅2メートル、長さ5メートル以内に決められていた。 使っていいバッテリーや電球の種類・数には制限がなかったが、マイクで音楽を流すことは禁じられていた。 掛け声や歌声など、肉声はOK! 文化祭のスケジュールとしては、1日目が合唱コンクール。 2日目は行燈行列。 行燈行列が終了すると、その行燈は直ちにバラバラに壊し、グランドの真ん中に積み上げて燃やすのである。 消防車が何台か待機する中、火柱を上げて天をも焦がす勢いで燃え盛る行燈の周りを囲み、全校生徒で『よさこいソーラン』を踊る。 今にして思えば、地方都市ならではの豪快な学校祭である。
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