男嫌い

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 私が女だから理不尽な目に遭っている、と声高に批判するつもりは毛頭ない。理不尽は、海底に蔓延る藻類のように無作為に蠢きながら、AIのように超然的な正義を振りかざし、私と言わず女と言わず、およそ誰に対しても唐突に行手を阻む。捉える対象を限定したりはしない。私たちはただそれに身を震わせるのであり、また時に利用させてもらったりしているのだ。  知っている。  しかし、それを踏まえてもなお、私にとって男は理不尽だという個人的な主張を覆す理由にはならない。  今日は殊更理屈の通らない小言を、半日も費やして捲し立てられた。残りの半日はその対応に追われ、夜ともなれば疲労も最高潮だ。  こんな日の夜にちょうど私と飲む約束をしていた聡介は、全く運が悪かったとしか言いようがない。  いや、もうここは最後まで自己中に言い切らせてもらおう。私にとって運が良かったのだ。  本来は自分自身で気持ちを整えなければならなかったのに、昔から私に甘い聡介を相手に鬱憤を晴らすことができたのだから。  ぁあ、聡介は運が悪かったのではない。友達(私)の質が悪かったのだ。
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