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原因は君らだよ1
私はある地方の街で生まれ育った。
父は二兄弟の長男、母も二兄弟の長女で、二人共兄弟で一番最初に結婚した。
そしてそんな両親の長女として生まれたのである。
今では珍しいかもしれないが、父方の祖母と三世代同居していた。
近くに母の実家もあったため、週末の数時間は必ず実家で過ごしていた。
私が3,4歳の頃、祖母が外出している時に、母親を尋ねて母の友人が家を訪ねてきたことがあった。
母は友人を迎え入れ、自室でおしゃべりをしていた。
そんな折、その時間には帰ってくるはずのない祖母が帰宅し、目敏く来客に気づいたのである。
「私に挨拶もなくよくも家にあがりこんでるものね。礼儀もしらないのかしら。」
わざわざ祖母は独り言を、私に聞こえるようにはっきりと言うのである。
嫌な気分になった私は、
「お母さんに言っちゃうよ」
といじわるのつもりで言ったのだが、祖母はむしろ当然という表情で、
「言ってきなさい。」
と私を伝言鳩のごとく使ったのである。
このいきさつを伝えると、母とその友人がみるみると青ざめていったのを今でもはっきりと覚えている。
二人は慌てて祖母の元に向かい、非礼を詫び、改めて挨拶をし、その足で友人は帰っていった。
この記憶を嫁姑の確執と認識したのは後になってからだが、結婚って面倒くさいと思ったはじめの出来事だった。
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