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210818 学校社会
冬休みが明けた、三ヶ月前。
ここ1年B組の教壇には見知らぬ男性が立っていた。
「今日から担任になります、大田です。よろしくお願いします」
当たり障りのない挨拶をして出欠を確認していく。そういえば、長谷川先生、産休だっけ、と思った。
無法地帯と化した放課後の教室。
「じゃあ後よろしくー」
と掃除を押し付けて帰っていくクラスメートたち。私だって、暇じゃないんだけどな。アルバイトに遅れないように急いで掃除を終わらせる。ああ、長谷川先生なら、手伝ってくれたのに。
大田先生どこだろ。これ以上探している時間はない。もういいや、バイト行こう。ギリギリ出勤時間に駆け込み働いて1日を終える。そんな毎日。少しだけ、ほんの少しだけ、みんなと距離があるだけ。そう思っていた。
数日後の授業時間。
この日はクラスで話し合いが行われていた。事前に出された課題についてみんなで討論をする。どうせ、私の意見なんて、誰も聞いてはくれないのに。
予想通り、いつものように、あからさまに「はい、次の人ー」と回される。真面目に考えてきたのにな。大田先生は何とも思わないのかな、と教卓を見る。討論会には興味がない様で、書類仕事をしているらしかった。
クラスに関心ないもんな、学校の体裁ばっかだもんな。と数日で感じた印象から諦め、放課後まで耐え続けた。
ある日のHR時間。
突然、大田先生がこんな連絡をした。
「来月、個人面談をします」
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