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第8話・アイマイな真実(後編)
ぐぁーっ!! ……ク、クソぉぉぉーッ!!
死ぬ気で思い出せ、オレ……っ!
どうなんだ、オイ?
ヤッちまったのか? イタしてしまったのか、オレーっ!?
ミ、ミ、ミヤさまとぉぉーっ!?
うううっ、……どーしても思い出せねーよぉ、チキショーッ!
こうなりゃ鏡を借りて、テメェのケツの穴の現状をこの目でシッカと確認すべきか……?
って、……ムリムリムリ! そんなマネできるかっつーの!
「どうしたの、真司君? さっきから、赤くなったり青くなったり……」
「……っ!? いや、その、……つーか、なんでオレ、ミヤさまんちにいるのかなぁー……って」
「もしかして、ぜんぜん覚えてないんだー?」
「サ、……サーセン」
オレは、ソファのスミッコにちぢこまった。
ミヤさまは、キレイな顔にピカピカのキレイな笑顔を浮かべて、いれたてのカフェオレボウルをオレに手渡しながら、隣に座った。
「ムリないか。ずいぶん酔ってたもんねぇ。3件目の店を出た後も、まだ飲み足りないって大騒ぎしてたんだよ、真司君」
「う……っ。サ、サ、サーセンーっ!」
「で、……だったら僕んちでユックリ飲みなおそうかってことになって……」
「ああ……なるほど……」
まあ、そこまでは想定の範囲内……なんだけど……
オレは、肩からかぶった毛布を胸の前にシッカリとカキ合わせて、ゴクリと息を飲んだ。
んでもって、清水乃舞台の覚悟で聞いた。
「てか、……なんで、オレ、……マ、全裸なんすかっ!?」
ミヤさまは、長いマツ毛をハタハタしばたたかせて、それから、ふわっと柔らかく笑った。
「ウチに着いたとたん、真司君、急に気分が悪くなっちゃってね。なので、洋服が汚れちゃって……」
「ゲッ!? ま、ま、まさかっ、……リバース、しちゃいました?」
「うん。……でも、大丈夫。すぐに洗濯機に入れたから。もう乾燥もすんでるよ」
「マ、マジでっ!? ……ゴ、ゴ、ゴメン、ミヤさま。すげぇメーワクかけちゃって……」
「いいって、いいって。ちっとも気にしてないから。……それにしても、真司君って意外と甘えん坊なんだねー」
「は……?」
「シャワーの後、ベッドルームに連れてってあげたら、僕にシガミついて離そうとしてくれなかったんだよ、真司君」
「う……っ!」
「それに……」
「そ、それに……って、オレ、他にもなんかヘンなこと……?」
「ううん。でもね……」
ミヤさまは、急に真顔になって、オレの目をじーっとのぞきこんだ。
「……こうなった以上は、僕もカミングアウトしておかないと、フェアじゃないかなぁ」
「は……?」
「僕ね、両刀なんだよね。いわゆる、バイってヤツ」
「は、……はぁー……?」
いや、あの、……ええっと……。
たしかに、想像のナナメ上いく衝撃のカミングアウトだけど……
でも、まあ、オレだって、そのテの分野にはイヤっていうほど免疫があるし……はなはだ不本意ながら。
ただ……問題は……
「"こうなった以上"、って……どーゆー意味ーーっ!?」
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