6人が本棚に入れています
本棚に追加
みすずは夜の仕事だが、朝が弱いわけではなかった。ビーチサンダルの駆けて来る音がして、パーカーにデニムのショートパンツ姿のみすずが見えた。
「パパ」
みすずが男性に頭を下げながら、運転席の方に近づいてきた。「もう行っちゃうの」
「お父さんは仕事の打ち合わせだ。皆さんと仲良くな」
芝居がかったやり取りをして、俊太郎は車を出した。ミラー越しに手を振るみすずに、苦笑せずにはいられなかった。
テラスハウスには週に一度行くかどうかだった。新宿の外れに新しい小さな仕事部屋を借り、そこで夕方まで執筆をした。出版社とも最近はメールやオンラインでのやり取りが多くなり、出向いたとしても酒の席だった。
最初のコメントを投稿しよう!