その関係はやがて破綻するだろうとテラスハウスの誰もが噂した

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 みすずは神楽坂の店を辞め、四ツ谷の荒木町にある新しい店に勤めるようになった。席数は少ないがここも客筋は悪くない。銀座で稼げるような玉ではないから、この辺りだろうと俊太郎も考えていた。もっとも、店に顔を出す事は無くなっていた。もともと、酒は独りで飲む方なのだ。  二度ほど、昼間にみすずから携帯電話に着信があった。マナーモードにしていた為にすぐには出れず、留守電も残されていなかった。普段そういう事をする娘では無かったから、俊太郎はどこか嫌な感触を憶えた。それで、テラスハウスに出かけて行く事にした。  エントランスでみすずと同じくらいの年齢だろう女性にすれ違った。会釈したが、どこか責められているような視線を返された。気持ちの悪さを感じながら、みすずの住む部屋へ向かった。
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