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仕向けたのは自分だった。あの男性を見た時から、どこかその予感はあった。それを見過ごした。いや、みすずの心の動きも承知で、するに任せた。
それ故、その責め苦を負うのが自分なのだと、俊太郎は思った。
「お前はこんな事がしたくて、俺とつき合ったのか」
意地の悪い言葉が、次から口をついて出た。
みすずの肩は小刻みに震えていた。
「妬かないの?悔しくないの?……あたし……パパの眼の前で他の男にヤられてたんだよ?ムカつかないの?」
みすずは訴えかけるように言った。歳相応の幼さが、その肌と表情に露わになっていた。
嫉妬のような感情を抱かないでは無かったが、それも己のせいだと俊太郎は抑え込んだ。
「腹を立てる理由がない。怒らないと、お前は俺を嫌いになるか?憎むか?」
「ひどい」みすずの頬を、涙が幾つも流れて落ちた。
「酷い事をしたのはお前だ」
「あたしは、パパが」
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