その関係はやがて破綻するだろうとテラスハウスの誰もが噂した

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 荷物が運び込まれるのをみすずと眺めていると、男性の方が「娘さんですか?」と尋ねてきた。年齢差から見てそう考えるのが普通だろうし、恐らく男性はみすずに興味を抱いた。みすずのどこか蓮っ葉なところは、男を惹きつける。 「えぇ、そんなもんです」  俊太郎が男性にそう言うと、みすずが後を引き取り、 「父がいつもお世話になっております。また、ご挨拶に伺いますので」  と、殊勝に頭を下げた。  それで男性は言葉の穂先を失い、夫人に肘で小突かれながら、エントランスを歩いて行った。 「おい、どこでそんな挨拶を憶えた」 「センセイが教えてくれたンじゃない」  みすずは悪戯っぽく舌を出して笑い、建物の中に駆けて行った。  明るい陽の光の下で見る彼女はやはり幼く、本当に自分の娘でもおかしくないのだと俊太郎は思った。それが余計に、背徳的な気分を助長した。
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