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そこまで思い出していた瞬間、
看守の声で現実に引き戻された。
「時間だ!」
私は立ち上がった。
良かったわね、ミキ。これであなたの災難は終わる。
「待って! カナコ!」
ミキは、ずっと擦り続けていた手を
アクリル板に張りつけて叫んだ。
ミキの掌に、フォークで切り裂いた傷跡が赤黒く残っていた。
「私、わからないの! どうして……
どうして私を殺そうとしたの!? ずっと親友だったじゃない!!」
ミキに背を向けたまま、手にかけられている手錠を見て、
情けない笑いが込み上げてきた。
「具体的に祈らないとダメ……か……」
『ミキと離れられますように』ーーー。
こんな形で縁切りの力が効くなんてね。
ただ……
「それ……祈る前に知りたかったな……」
《終》
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