縁切り神社

8/8
前へ
/8ページ
次へ
そこまで思い出していた瞬間、 看守の声で現実に引き戻された。 「時間だ!」 私は立ち上がった。 良かったわね、ミキ。これであなたの災難は終わる。 「待って! カナコ!」 ミキは、ずっと擦り続けていた手を アクリル板に張りつけて叫んだ。 ミキの掌に、フォークで切り裂いた傷跡が赤黒く残っていた。 「私、わからないの! どうして…… どうして私を殺そうとしたの!? ずっと親友だったじゃない!!」 ミキに背を向けたまま、手にかけられている手錠を見て、 情けない笑いが込み上げてきた。 「に祈らないとダメ……か……」 『ミキと離れられますように』ーーー。 こんな形で縁切りの力が効くなんてね。 ただ…… 「それ……祈る前に知りたかったな……」 《終》
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加