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1.この出会いは偶然?
私、如月 彩(きさらぎ さや)は只今唖然としております。
私は同期と付き合っていたが、いつの間にか浮気をされていたらしい。
なぜ、『らしい』のかと言うと、今朝の朝礼で今まさに結婚の知らせを聞いたのだ。
聞いた直後理解が追いつかず、あれ?私たち結婚の話し合いをしてたっけ?まぁ私としては、そろそろそんな話が出てもいいのではと思っていたが、話を聞いて行くうちにどうやら相手は私ではないようだ。
では誰だ?と思っていると、なんと私が教育している後輩ではないか!!
しかも出来ちゃってるらしい…赤ちゃんが…
まぁその責任を取らないよりはちゃんと結婚して、父親の責務を果たそうとしているのだから仕方ないか。
赤ちゃんには申し訳ないが、出来てしまっているのはしょうがないし、私にはどうにも出来ない。
それに生まれてくる子供に罪はない。
だからせめて、『もうこんな思いを奥さんと子供にさせるなよ。』と心の中でつぶやいて、みんなと一緒に「おめでとうございます」と祝辞を述べた。
今日は怒涛の1日だった。振られたからと言って仕事を休めるわけもなく、いつも通り仕事をしていたら上司に「如月君、身重の後輩の代わりにこの会議の資料作って会議室へ運んでおいてくれ。」と言われ、どんな拷問かと言ってやりたくなったが、私達が交際していた事は伝えていないので言えるはずもなくただ従う他ない。
「ん〜、疲れた。もうこんな時間か、帰りに飲んで帰ろうかな。」
時計を見ると19時を回っていたので今日はもう帰ることにして、居酒屋に寄って何か食べて帰ろうと思った。
早々に片付けて会社を出た。
たまに同期と飲みに行く居酒屋「のんべえ」に行ったのだが、
「あれ?暖簾が掛かってないし、赤提灯もくらい…
もしかして、今日休み?うそー!!」急いで携帯でホームページを確認すると定休日と書いてあった。不運は続くのだなとしみじみ思った。
「でもな、今から帰って何か作るのはめんどくさいし、かと言って居酒屋探すのもめんどくさい。
帰り道に何か有ればそこに入ろうかな」
そんな事をぶつくさ言いながら歩いていたら急に目眩がしてきた。そのままその場にしゃがみ込んでしまい、落ち着くのを待っていたら前方から若い男性の声がした。
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