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「大丈夫ですか?具合悪そうですけど、立てそうですか?」と言われ、
私は「大丈夫です、ちょっと目眩がしただけなので」
と言ったが男性は心配そうに
「ならいいんですけど、もし良ければうちの店に寄って行かれませんか?すぐ目の前なんですけど、ハーブティーの専門店をしてるんです。ハーブはいろんな効能があるので、目眩に効くものもありますよ。軽くお腹に入れた方がいいですよ。」
と言われ、確かにお昼も食べて無いし、晩御飯も食べ損ねたから空腹でそれで目眩がするのかもと思い、
「では、お言葉に甘えて。」
といって一緒に男性のお店へ行くことにした。
入ったお店はレトロなカフェのようで、椅子やテーブルはアンティーク調で揃えられていた。
照明もオレンジの落ち着いた明るさで、その場にいるだけでリラックスできる空間だった。
先に入って行った彼について入るとカウンター席へと案内された。
そして、彼は慣れた手つきでハーブティーを入れ始める。
外ではうずくまっていたこともあり、ちゃんと彼の顔を見ていなかったが、改めて見るととても爽やかなイケメンである。
それに雰囲気からとても優しそうなのでこれは女子が放っておかないだろうと、失礼ながらマジマジと顔を見てしまっていた。
私の視線に気づいた彼は、丁度お茶を入れ終わったこともあり、顔を上げお茶を出しながら「どうかされましたか?」と言ってきたので、
私はつい、「あっ、いえ、先程は声を掛けていただいてありがとうございました。今日はお昼を逃してしまった上に、入りかけたお店も定休日だったもので、立ちくらみがしてしまって…」
と言いながら入れてもらったハーブティーに口をつけた。
すると口の中にハーブ特有の香りが漂った。だが臭いというわけではなく、花の匂いが漂い、後味がさっぱりしてとても飲みやすかった。
「ん〜、美味しい。もっとクセが強いかと思ってたけど、意外と飲みやすいし、さっぱりしてて落ち着く。」
「そうですね、今入れたハーブはカモミールをベースにいくつかブレンドしたものなんです。カモミールは香り高く苦手な方も多いんですけど、大丈夫そうで良かったです。」
「そうなんですか。ハーブって結構好き嫌いが分かれるんですね。」
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