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私はそう言いながらハーブティーを飲んでいると、男性がまた話しかけてきた。
「そう言えば、まだ自己紹介してませんでしたね。僕は、睦月博音(むつき ひろと)と言います。」と言われ、丁度お名前が気になっていたので有難いと思い、こちらもまた自己紹介をした。
「私は、如月彩と言います。先程はほんとに有難うございました。」とまた改めてお礼を言った。
彼はお茶と一緒に胃に優しいものをと言って、野菜のたくさん入ったスープまで出してくれていた。
ほんとに至れり尽くせりで申し訳なくなる。
だが、しかしこれがまた絶品なのだ。
初対面なのに食い意地張りすぎかもしれないが…
しばらく黙々と食べていたら彼がまた「少し顔色が良くなりましたね。」と言った。私は訳もなく自分の頬に手を当てた。
(そんなに心配されるくらい顔色悪かったんだ。)と内心思っていると、
「お仕事の帰りはいつもこのくらいなのですか?」
と尋ねられた。
今日はたまたま色々あって早めに切り上げたが、普段はもう少し遅めだ。
「そうですね、今日はちょっと早めに切り上げたんですけど普段はもう少し遅い時間に帰ってます。」と答えた。
「そうなんですね、遅くまで大変ですね。もし、彩さんさえ良ければですが、この店夜もやってるんです。日中の開店時間を遅くして夜を開けてるので、また今日みたいにお昼食べ損ねた日などは何か作りますよ。」
と博音さんは食い意地貼ってる私には魅惑的なお誘いをしてくれる。
「えっ、いいんですか。すごく美味しくて、お店もとても落ち着く感じでまた来たいなって思ってたんです。」とついそんな事を言ってしまっていた。
博音さんは微笑んでいた。
そろそろいい時間なので、お暇しようと思い会計を頼んだら、博音さんは今日は自分が勝手に誘ったので、お代はいいと言った。
だが、このまま帰るのも気が引けると思っていると、
お家で淹れるためのハーブティーの茶葉が会計横のテーブルに並んでいた。
それを見た私は「あの、今日頂いたハーブティーの茶葉ってこの中にもありますか?」と聞いた。
「ええ、ありますよ。お家でも飲まれますか?」と言われた。
「はい、今日のハーブティーとても美味しかったので、普段も飲みたいなって思って…」
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