5.幸せはハーブと共に

1/9
前へ
/53ページ
次へ

5.幸せはハーブと共に

今日はいつもより大分早くに起きた。 いや、正確には昨夜から眠れなかった。 なぜ、寝れなかったかというと、今日が楽しみでワクワク、ドキドキだったからだ。 遠足前の小学生みたいだ。 今日は何があるのか、ことの発端は先週に遡る。 先週清と久しぶりに話し、博音さんに告白をする決心をした。 その話をしている間に博音さんの様子が変だったが、その後はいつも通りだった。 清が先に店出て、程なくして私達も一緒お店を出た。 いつものように博音さんが私を送ってくれるためだ。 普段ならもっと会話をしながら帰ったりするのだが、今回は2人とも静かに並んで歩いているだけだった。 博音さんは何を考えているのか分からないが、私は告白のことを考えて、1人で百面相になっていた事だろう。 告白する事への期待と不安。なにせ自分からした事ないので、どうすればいいのかよく分からない。 色んなシチュエーションを考えた。 1.メッセージアプリで思いの丈を送信する。 2.手紙で告白する。 3.電話で告白する。 4.今みたいに送ってもらっている時に告白して、家に逃げ帰る。 5.どこかへ誘って、いい感じの雰囲気の中告白する。 頭の中の5人の私が、それぞれプレゼンしてくる。 こうなっては、消去法で行くしかない。 メールは事務的で、なんというか… ムードも何もない。 手紙は書いたはいいが、どうやって渡す? 他の人に見られたら?字が汚いと思われたら? とか色々不都合があるので、1と2は消去。 なら電話? 電話をかけるにも勇気がいるし、「ごめん」ポチっと切られたら虚しいな。 言い逃げもいいよね。だけど、今後気まずくなってしまいそうな気もするし、私が返事が怖くて避けてしまいそうだから却下。 なら残るはどこかに誘うしかないか。 誘って、遊んで告白忘れたらどうしよう。 というか、遊びに行く日までに心が折れたらどうしよう。 結局何も決まらずまたウジウジして振り出しに戻っている。 どうしたものかと思った時、家に着いてしまった。 あぁ、いっそ言い逃げするか? とか考えていると、博音さんが改まって、「彩さん、今度の土曜日お休みですか?」と尋ねてきた。 来週なら休日出勤も無いから暇だ。 なので、 「はい、休みですよ。」と答えた。 すると、 「もし良ければ、一緒に出かけませんか?」と誘ってくれた。 (えっ?)と耳を疑った。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加