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今、なんて言った?
この人はエスパー?とバカなことを考え始め、思考がどこかへ飛んでいくところだった。
いや、もう飛んでいってたか。
また百面相してたらしく、博音さんが不思議そうにこちらを見ていた。
慌てて返事をしたが、これがまたとんでもないことを言ってしまった。
「嬉しいですけど、私で良いんですか?」と言った。
嬉しいとか言ったらもう気持ち伝えてるようなもんじゃないか。
墓穴を掘った気がする。
博音さんはびっくりした顔をした。
だけど、「はい、彩さんと出かけたくて」とかサラッと言ってくれる。
この人は天然ですか?
前にもしれっと彼氏ですけど、とか言ってたからこれが彼の通常運転なのかもしれない。
だが、こんなに私をドキドキさせてどうしたいのですか?
心臓おかしくなりそうですよ。
と脳内の私は大慌てだ。
きっと今顔は真っ赤になっている。
なんにも分かっていなが、「分かりました。」と言った。
そして気になる行き先について聞いてみたが、「当日のお楽しみです。」と言われてしまった。
目の前に人参をぶら下げられた馬のような気持ちだ。
つまり、お預け状態。
会話に区切りがつき、そろそろ中に入ろうかなと思った時、「当日は、ちょっと歩くので、スニーカーとかの方がいいかもです。あと、お昼はお弁当を作ろうと思うんですけど、何か苦手なものとかありますか?」
と聞かれ、
「いえ、苦手なものはないです。」
と答えた。
ちょっと歩くって一体どこにいる連れて行かれるの?
お弁当もあるなんて、小学校の遠足みたいで楽しみだ。博音さんの料理はいつも美味しいから、またたくさん食べてしまうだろう。
これでは太ってしまうなと思うが、でも美味しいものには敵わない。
胃袋をがっしりと掴まれてしまったから、ダイエットはもう諦めた方が良さそうだな。と思った。
紅葉に言わせたら女子にあるまじき発想と怒られてしまいそうだ。
そのあとは、すぐ別れて家に入った。
が、この一連の流れに思考が置いてけぼりを喰らっている気がする。
折角誘ってもらったのだ、その時にちゃんと気持ちを伝えようと心に決めた。
しかし、当日まで、ドキドキハラハラ、近づくに連れ段々心臓がうるさくなってくる。
今血圧を測ったらきっと大変な事になっているだろうと予想がつく。
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