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「分かりました。今準備するので、少し待っててもらえますか?」
「はい。」
そういうと博音さんは小袋に分けて紙袋に入れ、お店の名前の入ったシールを貼って手渡してくれた。
そのシールには「herba」と書かれていた。なんと読むのだろうと思っていると、博音さんが「それは、ラテン語で『ヘルバ』と言って、ハーブの語源になった言葉なんです。ちなみに意味は草という意味で、なんの捻りもないそのままの言葉なんですけどね。」と説明してくれた。
「そんな事ないですよ。とても素敵だと私は思います。」草だろうが何だろうがこんなに人を癒してくれるのだ。草上等だと思う。
「有難うございます。」と博音さんは笑った。
そして、私は彼に、「ちなみに、これはお幾らですか?」と尋ねた。すると彼はお代はいいとまた言った。まぁ言うだうと思ってはいた。
そして私は彼に「これは私が勝手に買って帰りたくなったので」と言うと彼は「一本取られました。」と言ってレジ打ちしてくれた。
そして出口まで見送ってくれた。
博音さんは袋の中にお茶の淹れ方が書いてある紙も一緒に入れてくれていた。
それに沿って私は毎日ハーブティーを会社に持って行ったり家で飲んだりしていた。
そして1週間が経ち、ハーブに癒されながらも毎日の激務は変わらず続いていた。
「もうあれから1週間か、早いな…
また博音さんの淹れてくれるお茶と料理が食べたくなったな…」とぶつくさ言いながら私は帰り支度をしていた。
時計を見ると今日は20時だった。ちょっと遅いけど、開いてるかな?と思いながら寄ってみることにした。幸い今日はちゃんとお昼を食べたのでこの間みたいに倒れたりはないだろう。
会社を出てお店まで行くとまだ開いていた。今日も時間が遅いせいか、お客さんは誰も居なかった。
ドアを開けるとカウンターの奥にいた博音さんがこちらを向いて
「いらっしゃいませ。」と言った。
私の姿を見て嬉しそうに「彩さん、またいらしてくださったんですね。」と言われ、「はい、また食べたくなって。」とまたも女子らしからぬ食い意地発言をしてしまう。
博音は嬉しそうで、彩のそんな発言なんて特に気にしていなさそうだが。
博音は彩をまたカウンターへと案内した。
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