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―― とりあえず、すぐに帰るのは怖いので、ガイアを道連れに中華料理を楽しむ事にしました。
「美味しいね!」
「切り替え早いなお前。つか早く帰った方が逆に良いんじゃねぇの?」
「えぇ?!だって怖いし」
「お前なァ……。俺もそろそろ寝たいんだが」
「もうちょっと付き合ってよ!」
そもそも早く帰って寝る為に大技を出してまで瞬殺したというのに。
「……ねぇ、ガイア」
「ん?」
急に真剣な表情になるアルバート。
元々喜怒哀楽は激しい方なので、ガイアも大して気にはしない。
「最近、おかしくない?」
「何がだ?」
「その、アンノーンが出現するの……」
その言葉を聞いただけで何が言いたいのか分かった。
自分もずっと不審に思っていた事。
「多いよな、アジア」
「うん、イル達も日本だったし」
「たまたま、じゃねぇ?」
「だったらいいけど」
「何だよ」
「ん、ちょっと胸騒ぎっていうか、嫌な予感がしてさ」
「気のせいだろ」
「うーん……」
どうも納得出来ないらしい。
正直、先の事など考えるのは面倒でしかない。
「ったく、いい加減帰るぞ」
そう言って席を立つ。
「え?!待って待って!まだ嫌!」
「んな事言ってても何が変わるわけでも無ぇだろうよ。さっさと行くぞ」
確かにその通りだ。
帰りが早くとも遅くとも結局任務の内容は変わら無いのだ。
むしろすぐ任務完了の報告をせずに本場の中華料理を楽しんでいたとなると、説教の時間は何倍にもなるだろう。
もう少し料理を食べたい、まだ帰りたくない、
色々な感情が交じりつつも渋々重い腰を上げる。
「ま、諦めるんだな」
「ガイアがフェニックス出すから!」
「うるせ」
先を行くガイアの後ろでアルバートはトボトボと歩を進める。
しかし、まさかギルドであんな出来事が待っていようとは、この時はまだ知る由も無かった。
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