思い出してはいけない話

1/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「ね、覚えてる?あの話」  同僚の柳聡美が急に口を開いたのは、騒がしい飲み会が終わり、二次会組と別れて駅に向かう、その道中でのことだった。 「なに?」 「この前、部長が話してくれたやつ。怖いの」 「ああ、そんなこともあったな」  二週間ほど前。来客予定だった取引先が電車の遅延に巻き込まれたとかで、時間が空いてしまったときのことだ。普段は堅物なオジサンといったかんじの部長が、突然、「君ら、怪談好きか?」と話し始めたのだ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!